2014年12月31日水曜日

Dwight Sykes「In The Life Zone」

1980年~90年の10年間に自宅の4トラックカセットで撮り溜めていた曲をリイシュー・レーベルPPUがレコード化。Larry Heardと初期Money Markが出会ったかのような温もりたっぷりのローファイ・ソウルからは、Dwightの音楽への愛情が伝わってくる。


2014年12月30日火曜日

Anarchist Republic of Bzzz「Neural Highways」

いかにもNYらしい空気が充満するアヴァン・ジャズ・ヒップホップ。アクの強いSensationalのラップとSeb El Zin, Arto Lindsay, Marc Ribotらのノイジーなギターが衝突するサウンドは不穏な様相を呈している。


2014年12月29日月曜日

Quelle Chris「We Eat It (feat. Cavalier)」

デトロイト出身のラッパー兼トラックメイカーによるチューン。ジャジーなサックスを使ったウワモノと不規則に乱打されるビートによるヒップホップが前衛的で圧倒される。


2014年12月28日日曜日

Catherine Ribeiro + Alpes「Poème non épique」

ポルトガル出身の女優、Catherine Ribeiroを擁するフランスのグループによる70年の作品。Catherineの演劇的な歌唱をフィーチャーした演奏は、同時代のロスト・アラーフとも共振するダークなフリー/サイケデリック・ミュージック


2014年12月27日土曜日

Roc Marciano「Marci Beaucoup」

プレミアとタメを張る、あるいはそれ以上の変態的かつミニマルなネタ使いが軸となりドープなサウンドを創り上げている。昨年リリースされたProdigy&Alchemistのアルバムにヤラれた人に是非聴いて欲しい。


2014年12月26日金曜日

Exithippies「Progress (Flux of Pink Indians) 」

海外でも人気の仙台ノイズコア。容赦の無いノイズをシャワーのように浴びせ続ける豪放なサウンドは、Masonna辺りのファンにも聴いて欲しい。


2014年12月25日木曜日

Windy & Carl「Drawing of Sound」

ミシガン州ディアボーン出身の夫婦によるデュオ。サイケデリックとシューゲイザーとドローンのはざまで揺らめき続けるサウンドは、Astrobrite辺りが好きな人に聴いて欲しい。Patty Watersを思わせる寒々しい女性ヴォーカルも最高だ。


2014年12月24日水曜日

Bass Communion「Drugged」

Porcupine Treeのメンバーとしても活動するSteven Wilsonによるユニットの1st。キーボードでドローン状の空間を創り出し、その空間の中でソプラノ・サックスが優雅に舞い続けるアンビエント。Ekkehard Ehlers辺りが好きな人に薦めたい。


2014年12月23日火曜日

Julianna Barwick「Rosabi EP」

ブルックリンを拠点に活動する女性ヴォイス・パフォーマーによるEP。澄み切ったヴォイスを思う存分に使ったアンビエント/ドローンは、エレクトロニクスによって創られたそれとは違う輝きを放っている。1月に予定されている来日公演も楽しみだ。


2014年12月22日月曜日

静香「天界のペルソナ」

時に甘美なメロディもたずさえたフィードバック・ノイズの背後から、かすかに聴こえてくる暗く抑揚のない三浦静香の声はNoise時代の工藤礼子の系譜を継いでいる。日本のMy bloody Valentineなどという陳腐な形容で終わらせたくない、日本のサイケデリック・ロックの傑作。


2014年12月21日日曜日

Pete Flux & Parental「Right Here」

パリのプロデューサーParentalとアトランタのMC, Pete Fluxとのコラボ。低くうなりを上げるベース、ボサノバのようにソフトなギター、ファットなビートが絡み合うジャジーかつアブストラクトなトラックは、完全に90'sマナーのサウンド。


2014年12月20日土曜日

Jahiliyya Fields「Unicursal Hexigrams」

ブルックリンのアーティストによる1stアルバム。インダストリアル、アンビエント、トライバルなど様々なジャンルを横断しながら築き上げた特異なサウンドとアシッドなテクスチャーは、同郷のEric Copelandと通じるものがある。


2014年12月19日金曜日

Terry Fox「Rallentando」

Paul Panhuysenらによって設立されたオランダのアートスペース "Het Apollohuis" でのライブ。3本のピアノ弦、2つのチェロ、ダブル・ベースによって生み出される重層的なミニマル/ドローンは、インスタントに創られたものとは違う圧倒的な強度と深みを持っている。


2014年12月18日木曜日

Ketev「S/T」

Opal Tapesからリリースされた、ベルリンの若き作曲家の1stとなるカセットは本年の重要作の一つに挙げられるだろう。いわゆるインダストリアル・テクノとは一味違う複雑かつダークなサウンドは、聴く者のイマジネーションを激しく掻き立てる。


2014年12月17日水曜日

Monoton「Dubwise」

オーストリアのKonrad Beckerらによるユニットが80年にリリースした1stソロから。ベースとエレクトロニクスによって構成されたオブスキュア・ミニマル・ダブ。たゆたうような微弱なサウンドに耳が引きつけられる。


2014年12月16日火曜日

George Coleman「Transistor Radio」

Bongo Joeの愛称で親しまれるストリート・パフォーマーのアルバムから。ドラム缶を改造したオリジナル楽器を叩きながら、つぶやくように歌うDIYビート・ミュージックはヒップホップの先駆け的なサウンドにも聴こえる。


2014年12月15日月曜日

Elodie Lauten「Mister Pip」

Errol Parkerの娘であり、La Monte Youngに師事したという女流アーティストによるEPから。レゲエとミニマル・ミュージックを接合させたかのような緩めのサウンドは、ナイヤビンギ・グループMystic Revelation Of Rastafari辺りが好きな人にも聴いて欲しい。


2014年12月14日日曜日

Jean-Claude Éloy「Kâmakalâ」

フランスの作曲家による71年の楽曲。低音低速のコーラスをフィーチャーしたオーケストラによるサウンドは、ドローンをスクリュー化したかのようなイルな仕上がり。ギリシャの暗黒作曲家Jani Christouとタメを張るダークネスがたまらない。


2014年12月13日土曜日

Richard H. Kirk「Never Lose Your Shadow」

映画「Vanishing Point」から影響を受けたという初期ソロ作。Virgin/Some Bizarre時代のCabsの青写真となったトラックだと本人も認めているが、現今のインダストリアル・テクノの雛形ともいうべきダビーかつミニマルなサウンドがクール過ぎる。


2014年12月12日金曜日

Arp「Raga For Moog & Violin (2nd Variation) 」

ニューヨーク在住の作曲家Alexis Georgopoulosのユニットによる楽曲は、Phil Niblock辺りからの影響を感じさせる正統派ドローン。砂漠に突き刺した54台のギターを風だけで演奏し、ドローンを創り出したGarlo辺りのファンにも聞いてほしい。


2014年12月11日木曜日

The Smiths「The World Won't Listen」

中期のシングルを集めたコンピレーション・アルバム。ハードコア勃興期に産まれ落ちた彼らが奏でるサウンドは、どこまでもソフトでありポップでありながら、毒気とユーモアをはらんだ言葉を発し続けるMorriseyは常に攻撃的な姿勢で世界に対峙している。ハードコア・バンドとは180度異なる方法論をとりながらも、あの時代に最もハードコアだったのは実は彼らなのかもしれない。


2014年12月10日水曜日

Delroy Edwards「Now u in my trunk」

スクリュー、G-funkに焦点を当てたミックス・シリーズ「Slowed Down Funk vol.3」収録。ミニマルなリリックに切なくなるメロディを絡めたスロー&ムーディなトラックからは、Delroyの90'sラップへの傾倒ぶりが伝わってくる。テクノ/ハウス畑のリスナーのものだけにしておくのはもったいない佳曲。


2014年12月9日火曜日

Brian Chase「Feedback Drone」

Yeah Yeah Yeahsのドラマーによるソロアルバム「Drums&Drone」から。La Monte Youngのインスタレーション「Dream House」にインスパイアされたという硬派なドローンは、Tony Conrad等のNYの先人達から受け継いだ血が感じさせる。


2014年12月8日月曜日

Camizole「Charles De Gaulle」

フレンチ・カルト・アヴァンギャルド・グループによる77年の録音。フリージャズやインプロと言ってしまえばそれまでだが、そんな行儀のいいものではなく、もっと野蛮でハチャメチャな演奏が痛快極まりない。ヴォーカルのシャウトはロスト・アラーフ時代の灰野敬二に通ずる迫力。


2014年12月7日日曜日

Polmo Polpo「Acqua」

トロント出身の音楽家、プロデューサーのSandro Perriによる初期作品。Porter RicksやMonolake辺りをさらにノイジーにしたクールなダブ・テクノ。ファンキーな要素も交えたダイナミックなサウンドはクラブで大音響で体感したい。


2014年12月6日土曜日

Theo Parrish「Be In Yo Self (feat. Ideeyah & Duminie Deporres) 」

ニューアルバム「American Intelligence」からのトラック。憂いを帯びたフィメール・ヴォーカルをフィーチャーした漆黒のディープハウスは、名曲「Summertime is here」の続編のようにも聴こえる。


2014年12月5日金曜日

小山景子「春の丘」

竹田賢一率いる即興演奏集団、Vedda Music Workshopへも参加していた女性ヴォーカリストによる宅録フォーク。自身によるピアノ伴奏と共に淡々と歌われる声が、いつまでも心の中で響き続く。ここまで、しなやかで芯の強い歌声は中々聴くことができない。


2014年12月4日木曜日

Terry Riley「Poppy Nogood」

先月の日本公演で物議を醸し出した(Riley本人ではなく、主宰者側だが)Terry Rileyの69年作。サックスを重ね合わせたミニマルは聴く者をトランス状態へ導く。先日紹介したBattle Tranceのルーツは間違いなくここにある。

2014年12月3日水曜日

Werner Durand「The art of buzzing」

フランスのサックス集団Urban Saxにも参加していたドイツのアーティストによる初のソロアルバム。イランのネイや塩化ビニル管など様々な楽器、道具を重ね合わせたダイナミックかつラウドなドローンは、Sunn O)))ファンにも聴いてほしい。実験音楽/現代音楽の名門Edition RZからのリリース。

2014年12月2日火曜日

Daphni「Ahora」

Caribou名義で活動するDan Snithの新たなユニット。Danは有機的かつ女性的なユニット名にしたかったとインタビューで語っているが、民族音楽的な要素も取り入れたディープ・テック・ハウスは細部まで作りこまれた繊細かつしなやかなフィーリングに溢れている。

2014年12月1日月曜日

灰野敬二「わたしだけ?」

本人曰く「日本のカントリー・ブルース」という1st。本作品を聴く上でタイトルにあるクエスチョンマークを見逃してはならない。徹底的に自我を解体し、解放に導こうとする歌の数々が時に微細、時に極限的にノイジーなギターとともにうたわれていく。ここまでミステリアスであり、痛烈な音楽体験をもたらす作品を私は他に知らない。